| 4.スローライフのヒント http://inakalife.net/ |
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| 『ひと手間の幸せを感じたい 田舎暮らしに憧れて』 | |
| 家庭菜園づくりや手作り食品などの加工の実践やその方法を紹介した本 | |
小さな2人の娘のいる4人家族の、家庭菜園(不耕起栽培)・食物や繊維品の手作りを中心とした田舎暮らしでの実践を紹介した本である。その実践者は、神奈川県北端の藤野町に移住したフリーイラストレーター夫婦の妻であるが、夫の撮影による写真が使われている。カラー写真が豊富で説明も丁寧であり、読者がレシピを見ながら挑戦してみることができるように編集されている。紹介されている内容は、食品が中心でその貯蔵法がとても参考になると思う。 具体的にとりあげられているのは、味噌・梅干し・天然酵母(りんご・ぶどう)・パン・リンゴのコンフィチュール、藍染め・干し大根・干しりんご・草木染め・蜜蝋ロウソク・蔓のかご編み・布織りである。これらが、菜園や自然環境の春夏秋冬の変化を紹介しながら、鮮やかな手法で季節を追いつつ編集されている。山野草を利用した料理、手作りおやつ、野遊び、畑作業、自宅にある伝統的な道具類の紹介なども、要所要所に組み込まれている。 大判の本だが全82ページであり、読みやすいので数時間もあれば通読できる。食品加工などの手作りに興味のある人にはおすすめの1冊である。ただ、奥付の書誌であるが、「廣島愛子」さんのプロフィールなどが紹介されているものの、著者であることが明示されていない。ちなみに「編集人 染谷幸子」と記されている。著者を誰が見てもはっきりとわかるように明示するのが出版物の基本ではないかと思うが、いかがなものか。 |
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| 『樹皮ハンドブック』 | |
| 樹皮から樹木名を特定するためのハンディな図鑑 | |
| 道を歩いている時に目にする街路樹。郊外の緑豊かなところを散歩したり、さまざまな野外活動をしたりと、木を目にする機会は多い。その時、ふとこの木は何だろうと気になることがよくあるものだ。そんなときは、写真付きの樹木関係の本があると何かと重宝だ。しかし、それらは、葉で見分けるもの、花で見分けるものが一般的だと思うが、樹皮で見分けるように構成されたものは少ないと思う。 花は一年中咲いているものではないし、葉だって秋も深まれば枯れてしまう。また、よく似ている花や葉もある。薪ストーブ愛用者などに至っては、入手した薪・丸太が何の木であるか知りたくても、葉や花は手がかりにできない。そこでこの『樹皮ハンドブック』の出番である。 私の場合は、昨夏に葉から樹種を特定した後、今春の花の時期に「何か変だ」と気付き、結局この本を入手して、樹皮から自分の間違いを正したという経験をした。このようなに、写真がきれいでハンディなこの本は、本当に実用的なお役立ち本である。 樹皮の分類は難しいと思うが、この本の最初は、「樹皮一覧表」と題した写真のインデックスで、150種類超の掲載樹皮を、「横・筋」13種・「平滑」38種・「縦・筋」19種・「縦・裂」54種・「網・裂」13種・「斑・剥」17種に分類し、掲載ページを示している。本編は「常緑針葉樹」・「落葉針葉樹」・「落葉広葉樹」・「常緑広葉樹」・「その他の特徴的な樹皮」の5グループで構成されている。木は、若木・成木・老木で樹皮が異なる場合があるので、そのような木については、それぞれの写真が別に掲載されている。枝葉の付き方・葉の画像のほか、樹皮・樹形・分布・利用などの簡潔な解説もある。巻末には、樹木名の索引も掲載されており、ハンドブックとしては申し分ない内容になっている。 |
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| 『パーマカルチャーしよう!』 | |
| パーマカルチャーの思想をとりいれた様々な実践・体験などをつづった文集 | |
この本は、2003年から開講されている安曇野パーマカルチャー塾に集う人々の企画によるもので、オーストラリア生まれの実践的学問「パーマカルチャー」をキーワードに、同塾の多方面にわたる関係者による実践報告・体験記や散文・詩、提言など、35本あまりの原稿から構成されている。 内容は、「パーマカルチャーとは」から始まって、創始者ビル・モリソン氏の思想の紹介、生活ゾーンのデザイン、循環型ライフスタイル、自然農、セルフビルド、日本の国内外の循環型地域コミュニティなど、多岐にわたっている。よく言えば、アラカルト的で、興味のあるテーマから拾い読みできる点がメリットであるが、一方で一書としてのまとまりや展開性は乏しく、「パーマカルチャー」を体系的に知りたいという人が最初の一冊とするには向かない。 写真が豊富に盛り込まれていて、視覚的にもわかりやすく構成されており、いろいろなところで、いろいろな人たちが様々なことを考え、様々な取り組みを展開しているということを知るきっかけとなる書ではある。個別のテーマについて明確な興味が固まっている場合は、その専論の書を入手して深く追求することになるだろう。 余談だが、日本における「パーマカルチャー」の実践については、創始者が前近代の日本のライフスタイルに学ぶべきことを指摘している。全く以て創始者ならではの慧眼という他なく、明治以来の近代化の中で、前近代的、封建的として全否定された観のある江戸時代であるが、江戸の社会は農村はもちろんのこと、都市も水や緑と調和した高度な循環型社会であったという。日本にあっては、外国の文献から「パーマカルチャー」の基本をきちんと一通り学んだら、日本列島に生きた我々の先人の暮らしに大いに学び、日本の風土に根ざした永続的な循環型社会や循環型生活が模索されていくべきだろう。 ※江戸の社会については、鬼頭宏『日本の歴史19 文明としての江戸システム』(講談社、2002年) |
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| 『チェーンソー パーフェクト マニュアル』 | |
| チェーンソーとその操作などの基本を解説 | |
この本は、『夢の丸太小屋に暮らす』編集部によるチェーンソーの解説本である。全ページにわたって見やすい写真・イラストがふんだんに使われており、非常に見やすく読みやすいものとなっている。 全7章立てで、第1章は、各部の名称と構造や役割の解説、第2章は作業前の確認・準備、エンジンのかけ方、持ち方、および玉切り、斜め切り、平面カットなどの基本的な切り方の解説である。 さらに、第3章は、立木の伐採と玉切り・枝払い、第4章はウッドランプ、ポスト、イスなどの作品の作り方やチェーンソーアートの紹介となっている。また、第5章はログハウスづくりのためのノッチワーク、第6章は目立てをはじめとするメンテナンスについての解説する。最後の第7章は、冒頭でチェーンソーの選び方に少しだけふれているが、ほとんどがカタログである。選び方のページで、ガイドバーの「長さ」を表していると思われる数字に付いた単位がすべて「センチメートル」ではなく、「立方センチメートル」になっているのは、単なるお粗末な誤植だろうか。 表紙に「チェーンソーをもっと楽しむための本」と書かれているが、「もっと楽しむ」というよりは、構成・内容とも入門書的なので、チェーンソーに興味を持った人、これからチェーンソーを買って何かしようという人が、一通り読んでみるのに向いているように思った。 なお、この本は「パーフェクト」と題しているが、わずか全96ページの本であり、しかもそのうち23ページは本体と関連グッズのカタログであって、内容はためになるが、ボリュームは乏しい。それならば、メーカーからもっとしっかりと広告料をいただいて、本の価格は1,000円台前半くらいに抑えて欲しいように感じた。また、カタログも単なるメーカー別の羅列ではなく、「チェーンソーの選び方」で解説している用途や必要な機能・性能などのチェックポイントを軸として各メーカーの適合機種を比較紹介するような編集ならば、読者にとっては一層具体的なイメージが湧きやすいと思った。 |
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| 『スローライフ−緩急自在のすすめ』 | |
| 「急」を追求する風潮の中にあって、すすんで「緩」の思考や活動をとり込むことを説く | |
この本は、NPO法人スローライフ・ジャパンの理事もつとめる、有名なニュースキャスター、ジャーナリストの手になるもので、岩波書店の読書誌『図書』への連載文がもとになっている。 本書では、グローバル化やIT革命の進展、9・11テロ以来注目されている世界的な原理主義の潮流、食の貧困や目の輝きを失った日本の子ども、尼崎の列車脱線事故、高齢社会の到来など、日本や世界各地で起こっているさまざまな話題が登場する。この本は、個々の間にさほど脈絡の感じられないさまざまな現象を、ひとりの人間の眼ですばやく捉えてじっくりと分析し、ひとつの「線」で結んでいる。 また、日本や世界のどこかで起こったこと、起こっていることにミクロ的視点で迫り、さらにその場からの視点でマクロ的に日本や世界の全体像を捉え直す、また現在的関心からから過去の像をあぶりだし、その過去の視点から現在の問題をあぶりだすなど、縦横無尽に時空を往復する旅をしているかのような内容展開である。これは、著者自らの豊富な見聞と体験に裏付けられてこその所為に相違ない。また、だからこそ多岐にわたる話題が自然に本書のテーマに収斂していくのだろう。 「急」の風潮の中で単一的な価値観に猛進しているかのような世の大勢にあって、寛容な態度で肩肘張らず、自発的に「緩」の思考・活動を取り込むことを説く、退屈しない「スローライフ」の本である。 |
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| 『半農半Xという生き方 実践編』 | |
| 農的暮らしともに取り組む社会的ミッションをテーマとした本 | |
この本は前著『半農半Xという生き方』の続編をなすものである。「半農半X」といういささか抽象的な言葉は、1995年ごろ屋久島在住の作家・翻訳者が地震のライフスタイルを「半農半著」と表現したことに触発された概念だということだ。 本書では特に、この「X」にあたる自分の好きな、かつ社会的ミッションをどうやって見つけ出すかということについて掘り下げれられている。その具体的な内容は、著者自身の「半農」の営みの紹介、著者自身の「半X」の取り組み、「半農半X」のモデルとなる実践者の紹介、「X」を見つけるために実行すべきことの提言などである。 本書でも、古今東西の思想家・文学者その他の書いた文や提示した概念などを随所に引用・紹介して「半農半Xという生き方」の実践が説かれているが、これだけおびただしい引用・紹介をするのであれば、人名だけでなく、参照した文献もきちんと示すべきではないか。それが先哲への表敬であり、この本を読んだ人が、各自の関心にしたがって思索を深めていく道標にもなるだろう。 |
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| 『楽しいぞ!ひと昔前の暮らしかた』 | |
| 古民家で昔の暮らしの様々な営みを楽しみながら実践 | |
青少年向けの岩波ジュニア新書から、古民家での生活体験を子どもたちに紹介する本が出版された。この本は、古民家に移住し、農作業などをしながら家族で暮らしている筆者自身が実体験を綴っている点が特徴的である。 古民家での暮らしは、自分たちで薪を割って直火を焚き、茅を刈って屋根を葺き替え、毎日ほうきで土間を掃き、定期的に煤払いをするなど、そこに暮らす家族の日常生活の営みの反復によって保たれていく点が特色であることがわかるが、古民家での暮らしはまさに「人家一体」と言えるだろう。また、昔ながらの道具で綿を育てて糸を紡いで機を織る作業や、化学肥料・農薬・大型農機が普及する前の道具と方法で米や麦などをつくり、食品加工もするという生活も紹介されている。 さらに、この生活実践は、隣近所や道で出会う人、伝統行事への参加で出会った人など、地域の人との交流に支えられている点にも注目したい。また、著者の家族はこの生活を心から楽しんでいることがが随所から伝わってくる。青少年向けの本であるし、欲を言えばもっとたくさんの図版が欲しいところだが、新書という制約もあるのだろう。 この本で紹介された多くの体験は、子どもにしてみれば極めて新鮮で強烈な知的好奇心をひきおこす貴重なものとなるだろう。子どもたちが徐々に失われゆく伝統的な生活文化にふれる入口ができたことの意義は決して小さくはない。また、岩波のジュニア新書は、青少年向けに平易に編集・執筆されているとはいえ、大人の知的欲求も十分に満たしてくれる。子どもたちの生活体験学習の窓口としてはちろん、大人にも古民家での田舎暮らし体験記として役に立ち、また楽しめる1冊である。 |
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| 『東京発スローライフ』 | |
| 八王子郊外に暮らすネイチャークラフト作家のハンドメイドを中心とした生活の紹介 | |
東京都の八王子市郊外の民家を借りて妻とアトリエを構えて生活している、北海道生まれのネイチャークラフト作家の本である。『オレンジページ インテリア』に連載した「東京発ハンドメイドスローライフ」を一書にまとめたものだ。最初は、書名を見て都心部でスローライフを貫き通している人がそのライフスタイルを発信しているのかと思ったが、この本のテーマは「ハンドメイド」にあるようだ。 ネイチャークラフトといえば、その準備段階として自然素材の収集をしなくてはならないが、実家の家業が山菜料理店で、幼少のころから山菜採りをしていたという原体験が生きている生活である点が興味深かった。全90ページあまりの薄い本で、ページをめくると、四季折々の素材集めや作品製作、山菜などの採集による食生活や自然の中での遊び、知人・友人の助力を得たアトリエづくりなど、活動的な日常生活が豊富な写真と読みやすい文で紹介されている。クラフトの素材も、つる、草、竹、木の枝、流木、貝殻、ビーチグラスと多様で、その収集の仕方から、かご、ハンガー、ラック、フック、リース、ランプやちょっとしたオブジェなどの作品や作り方が丁寧に説明されている。 つる、竹、草などは、往々にして雑木林や庭・畑の「厄介者」として扱われがちなところだが、これをクラフトの素材として視点をかえて見てみると、「自然のモノ」に違った価値を見出せるという点が新鮮であった。このことは、逆に言えば、こんなモノからでも、日常生活にとけ込んだ、さりげなくおしゃれだったり、かわいかったりする作品が生まれるんだということの再発見であり、ちょっとしたアイデア・工夫や、自分でひと手間かけるハンドメイドのよさ、すばらしさを実感できた一冊であった。 また、最後に「東京の田舎に暮らすということ」と題して綴られている、現在の場所に居を構えるまでの経緯と新生活を立ち上げて間もないころのさまざまな体験は、田舎暮らし・スローライフに関心を抱く人にとって大いに参考になると思う。 |
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| 『生きている日本のスローフード 宮崎県椎葉村、究極の郷土食』 | |
| 日本の基層文化にまでさかのぼる郷土食の奥深さを実感 | |
この本は、『田舎暮らしの本』(宝島社、2003年8月〜05年2月)に連載した記事をまとめたものである。全293頁のハードカバーできれいなカラー写真がふんだんに盛り込まれていてボリュームたっぷりに仕上がっている。 熊本との県境にある宮崎県椎葉村という山村に今でも伝わる農耕・狩猟・漁撈の数々やその収穫物を用いた加工食品や料理が紹介されている。豆腐の中に刻んで茹でた山菜・野菜を入れた菜豆腐、蒸し茶ではなく大釜で炒ってつくる釜炒り茶、石灰岩層を通った谷川でとれるノリ、干タケノコなどが入った煮しめ、カシの実コンニャク、ヤマユリ(ウバユリ)でつくるデンプン粉、ヒガンバナの近種で有毒のオオシ(キツネノカミソリ)からつくるデンプン粉、ヤマノイモ科に属するヒメ(カシュウイモ)・高い山の絶壁に群生する地衣類のイワタケ、そば粉を用いた具を入れるダゴ汁、麦・小豆・米を竹皮に包んで煮込む麦包み、ヒエ・アワ・トウキビ・小豆などを加えて蒸したウムシ飯など、珍しい食材や加工法を用いた料理が次々に出てくる。 また、雑穀をはじめとする農作物をもたらす焼畑農耕、アク抜きの技法、エノハ(ヤマメ)・ウナギなどの釣り、シシの狩猟法なども詳しく紹介されている。 日本列島に稲作農耕が伝来する以前にさかのぼるとされている山村の食文化の営みが未だに継承されていることには驚きを禁じ得ない。このような奥深い食文化は、21世紀にも継承されていって欲しいと願わずにはいられない。 |
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| 『ぽれぽれ田舎暮らしはおいしい楽しい』 | |
| 季節ごとに入手できる自然素材を料理はじめ生活に役立てる方法を紹介 | |
山梨県に移住し、古民家に暮らす主婦が、ふるさと情報館発行の『月刊ふるさとネットワーク』に連載した記事をもとに、旬の自然素材を用いた料理や工芸品のレシピをまとめた本。タイトルにある「ぽれぽれ」ととは、スワヒリ語で「のんびり」という意味だそうだ。 本書の体裁は、横書きで見開きの左端・右端に注釈のスペースをとっているが、これによって本のサイズがいたずらに一回り大きくなり、扱いにくかったように思う。必要不可欠な注釈は、脚注形式にした方がむしろ読みやすいと思った。ただし、カラー頁の写真やイラストの持つ雰囲気は、テーマの内容やイメージにぴったりだと思う。 レシピは、さまざまな草木の果実・花・葉や蜂蜜などの季節の恵みの利用法、ピッツァ・バウムクーヘンの焼き方や鶏のしめ方、穀類・大豆・麹などを用いたビール・蕎麦・ほうとう・豆腐・味噌・醤油・餅づくり、果ては石鹸・草履・竹細工・つる細工・紙すき・綿糸づくりの方法など、衣食の多方面にわたっている。また、レシピの間に挿入されているスローライフの楽しみを紹介した短いエッセイも味わいある内容だ。 生活に必要なものを家庭で楽しみながら作ることは、それ自体意義深いと思う。本書は、さまざまな手作り製法に初挑戦する人のよき入門書となるであろう。また、メーカーの機械製造品を消費するのが常識の世の中で、本書のように各地で伝承されてきた手作り製法を記録しておくことも、数十年後には重要な意味を帯びてくるのではないだろうか。 |
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| 『今関さんちの自給自足的生活入門』 | |
| 農的生活で実現できる食品加工の方法などを紹介 | |
著者は、50歳で脱サラ・就農し、農地を求めて千葉県から徳島県に転居した。ライターとしても活動している。この本は、自給自足的生活のための食物・食品づくりを紹介したものである。 全体が3章立てになっており、第1章は養鶏・稲作・畑作・山菜採りなどを紹介している。また、自家採種への取り組みもつづられている。第2章は主に大豆・小麦などを主原料とした発酵食品づくりをはじめ、クッキー・ジャム・漬物・こんにゃく・手打ちうどん・梅干し・乾燥イモ・薬草茶など、著者が長年かけて挑戦してきた商品の加工法を紹介している。さらに、第3章は農作業や食品加工に使用している道具・機械類の入手の経緯や使用しての実感を紹介している。 本書を読んでまず感じたのは、レシピ・マニュアルの紹介本なのに、非常にすらすらとページが進んでいくということである。やはり、どこかで見聞きしたことではなく、自ら実践してきたことを紹介しているということがその秘訣ではないだろうか。また、そのような内容であるだけに、単なるレシピ本・マニュアル本ではなしに、著者の新規就農以来の暮らしの歩みが綴られたストーリー性のある本となっている点も見逃せない。 農的生活や自前での食品加工に興味のある人にとっては、得るものが大きい本だと思う。 |
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| 『木洩れ日の庭で』 | |
| 住まいや土地・景観などの空間をトータルデザインする必要を考えさせられる本 | |
著者は、住宅庭園・都市建築・集合住宅・リゾート施設などのランド・スケープ・デザイナーである。自然の中で自然と共に暮らすための庭のあり方を追究していて、自身も八ヶ岳山麓に住まいとアトリエを構えている。この本は、庭を中心テーマに、著者が撮った写真とエッセイで構成されている。写真は一頁分のスペースにゆったりと配されているので、本自体がやや横長の装丁となっている。 自然豊かなところで暮らそうと思うとき、だれもが土地の利用価値や景観、住居のあり方などを吟味すると思うが、庭はどうだろうか。この本を読んで、土地・景観・住居の接点であり、これらを融合させる役割を果たすのが庭であるということを、改めて考えさせられた。また、庭という空間は、住居と異なって生命体としての草木を素材にするのであるから、なるほど人間と草木との時間の調和が大切になってくる。すなわち、庭づくりとは、空間と共に時間をも設計する広くて奥深い営みということになる。 この本を読んでいる途中、何やらとりとめもない内容の本だと思ったが、それは庭のもつこのような特性ゆえのことであろう。個々の章節のテーマは実に多方面にわたっているが、なるほどと納得させられるプロとしての識見や、はっとさせられる感性や考え方が表出した文が随所にあった。「家」・「土地」・「景色」だけではなく、暮らしの「空間」をトータルに考えようとする際に一読したい本である。 |
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| 『スローライフ入門』 | |
| 時間との意識的な関わり方について深く考えさせられる本 | |
著者は、ロンドン在住のジャーナリストで、この本は現代社会における効率を最優先した「もっと速く!」という志向がもたらす負の側面を浮き彫りにし、世界各国のさまざまな分野で提唱・実践されているスローダウンの運動を概括している。 第1章では、時間と時計を取り上げ、歴史的な見地から、どのようにして人間は時間を厳密に計測し、飽くことなくスピードを追求するようになったかを解説している。ターニング・ポイントは産業革命後の近代化にあるという。計測された時間と「時は金なり」という価値観を所与のものとして認識している私たち現代人には、新鮮味のある内容だ。 第2章では、時間やスピード化の呪縛から抜け出そうとする世界的潮流を概観し、第3章以下では、食品・料理と食事の見直し、都市の喧騒と慌ただしさからの解放、心身機能の疲弊とその回復のためのエクササイズや医療、一瞬の快楽だけではなく親密さや思いやりをはぐくむ性交渉、労働時間や労働効率の問題と主体的な自己管理や休憩・減速化の効用、生活テンポの調整と余暇の楽しみ、急いで詰め込む教育の問題点とスローダウンの効用などを論じる。 以上10章からなる本編を通じて著者が言わんとするところは、人々が幸福に暮らすために、「『すべてのことをもっと速く』ではなくて、『すべてのことをそれにふさわしいスピードで』時には速く。時にはゆっくりと。」(345頁)、自分でそのバランスをとっていくということだ。 「スローライフ」といえば、万事をのんびり・のろのろやるという誤ったイメージとそれへの憧憬や非難が先行しているかの感があるが、決してそうではない。「物事にはスピードアップできないもの、スピードアップしてはいけないものがある。そういったものには成熟するまでの時間、つまり、ゆるやかさ(スローネス)が必要なのだ」(17〜18頁)。含蓄ある言葉だと思う。 |
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| 『すぐにできるドラム缶炭やき術』 | |
| 比較的容易なドラム缶を使った炭の焼き方を解説 | |
ドラム缶は広く利用されていて入手が容易であり、ドラム缶窯は廃品リサイクルなので低コストだという。また、これによる炭焼きは土窯などよりも失敗が少なく、初めて挑む人が作業工程を会得するのにも、炭焼きの体験学習やデモンストレーションなどにも最適だということだ。 本書はさまざまなドラム缶窯の作り方から設置法、炭焼き法までを詳細に解説している。文だけでなく、要所要所に大きめのイラスト・写真がふんだんに用いられており、作業の手順や結果が非常にわかりやすい。 ただし、木酢液採取を推奨するわりには、冷却筒の設置法や状態をわかりやすく示した全体図がなかったのが残念だった。部分を示した写真は掲載されているものの、全く知識のない者にとっては、5mもある長い冷却筒をどうやって固定するのかなど、初歩的なことでも疑問に感じてしまう。 しかし、全体で気になったのはこの点くらいであり、作業工程の進行に不可欠な煙の状態変化を、巻頭のカラー頁の中でカラー写真5枚できちんと示すなど、炭焼き法のエッセンスを、本書1冊で余すところなく伝えようとする真摯な姿勢が伝わってきた。 |
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| 『食の堕落を救え!』 | |
| 時代を生き抜く発酵食品の奥深さとそれを守る職人の心意気 | |
東京農業大学教授の著者が、発酵・醸造食品の分野でより高い完成度を追究して不断の努力を続ける職人12人を、豊富な知見に基づいて選び出し、「食の人間国宝」として紹介している。その食品は、醤油・みりん・漬け物・鰹節・納豆・味噌・酒・鮒鮓・塩辛・泡盛・ふぐの卵巣の糠漬け・チーズの12品目である。 戦後日本の社会や自然環境などの大きな変化は、人間の生活環境だけではなく、伝統的な食品の製造環境をも大きく変化させていたことに改めて気付かされた。このような食品の最適な原料を確保し、昔ながらの製法で作り上げることは、年々難しくなっているという。経営を存続させながら、手間暇惜しまず、熟練の技術と感覚を駆使して最高のものを作ろうとする職人の心意気は、本当にすばらしく思えた。 1章ずつ読み進めるたびに、自分が日常何気なく買って食べている食品はどのように作られてているのだろうという関心が、ふつふつとわき上がってきた。 |
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| 『エコライフ&スローライフを実現する愉しい非電化』 | |
| 非電化製品を採り入れ、程ほどに快適で便利な生活をめざす | |
この本は、冷蔵庫・洗濯機・除湿器・珈琲焙煎器・ラジオ・パッシブソーラーの冷暖房など、多種多様な非電化製品を紹介している。それらは、著者の発明品をはじめ、昔ながらの機械式のすぐれものや、それに著者の改良を加えたものなどである。また、著者はこのような製品の製造・普及のモデルづくりにも積極的で、その実践的取り組みをモンゴルで展開している。 著者は電化を否定するものではなく、また貧しい昔の生活に回帰することを提唱しているのではない。電化によって過剰に便利さ・快適さを追求してきたことが、先進国の社会が抱える問題や地球環境問題を深刻化させていると捉えているのである。非電化製品によって「ほどほど」の快適さや便利さを実現すること、非電化製品をつくり、利用する工夫を愉しむことが著者の目指すところである。 この本を読むと、専門領域の物理学・工学の識見はもちろん、環境問題・南北問題・資源エネルギー問題などの現代的な社会問題への高い関心と、科学技術史・工業史への深い造詣などが伝わってきて、著者が単なる発明の「専門家」(発明屋?)ではなく、科学者として幅広く深い学識をもって製品開発に取り組んでいることがよくわかる。 また、日常生活で何気なく電気を消費・浪費している立場にある読者としては、発電段階から消費までの電力や電化製品を、「エネルギー」や「運動」などの物理的な視点から捉え直すことができて新鮮である。 製品の原理や構造などの説明は、一般人にも平易に理解できて読みやすい。 |
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| 『自然再生 持続可能な生態系のために』 | |
| 人類の「征服型戦略」から「積極的共生型戦略」への転換の必要を説く | |
本書はまず、ホモ・サピエンスの登場以来すすめられてきた、自然環境に対する「征服型戦略」の行き詰まりを指摘する。そして、日本だけではなく、世界各地でも、危機に瀕している「生物多様性」を守るために、「征服型戦略」から「積極的共生型戦略」に転換する必要性を説く。 「多様性」と「共生」をキーワードに、話題は世界各地を駆けめぐる。また、再生の具体例のみならず、行き詰まりの源を根本から問い直し、求められる新たな「発想」を紹介している点で示唆に富む。 なお、本書では日本と同じ島嶼国の例として、イギリスやニュージーランドの事例が紹介されている。日本の里山や水田の機能を、イギリスでは機械化で消滅していった農場の「生け垣」が果たしてきたという。現在は、その再生が進められているということだ。エンクロージャーで知られるイギリスだが、「生け垣」に柵以上の大切な機能があったというのが、私としては新たな知識であった。 |
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| 『DASH村からワシが伝えたかったこと 三瓶明雄の知恵』 | |
| 農村で伝承されてきた暮らしの知恵を対話形式でつづる | |
日本TV『ザ!鉄腕!DASH!!』の農業指導者をつとめる三瓶氏の農業や生活の経験・知識を対話形式で綴った本である。 住まいの知恵、田畑での農作物の作り方、味噌造りなどの食事の知恵、炭焼き窯・かまど、縄・草鞋、五右衛門風呂の作り方など、様々な暮らしの知恵を、開拓農民の家庭に生まれ育った三瓶氏が当時を回想しながら解説してくれる。言葉の端々からは、自然や周囲の人に対する謙虚な姿勢が伝わってくる。 炭焼き窯づくりなどでは、寸法に至るまで詳細に語ってくれて少々閉口するが(図解や解説を別にしてほしいと思った)、全体としては巧みな対話形式で、流れるように話が展開していくので、非常に読みやすく、モノや作業の具体的なイメージが湧きやすかった。 菜園づくりやスローフードづくりなどに挑戦してみたいと思っている未経験者が読めば、チャレンジ精神がどんどん高まってくるのではないだろうか。 |
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| 『プロが教える 森の技・山の作法』 | |
| 代々伝承されてきた動力によらない道具を使った森林作業の方法を解説 | |
著者は、若年時から林業を営む父から山林作業の技術を受け継ぎ、退職を契機に「新島林業塾」を主宰し、次世代への継承に取り組んでいる。本書は全5編構成で、それを解説する。 1.「山仕事の基礎 編」 基本道具・境界・歩き方・身支度・休憩・表土・目測など 2.「道具の使い方 編」 ナタ・カマ・ノコ・ロープ・ハシゴの使い方・手入れ 3.「森の技 編」 簡易な測定法・ボヤ刈り・地拵え・植林・下刈り・間伐・枝打ち・丸太割り 4.「山の環境づくり 編」 歩道づくり・休憩場所づくり・丸太の架橋・広葉樹の山づくり 5.「山の作法 編」 慣習に学ぶこと・技の伝授・山の神様と安全 書名に「プロが教える」とあるが、現在広く普及している刈払機やチェンソーなどのエンジン機械については、全くふれられていない。下刈りなら造林鎌、伐採なら鋸である。したがって、刈払機やチェンソーの使用法の習得を期待してはならない。もっとも、そのような知識に対するニーズについては、製造メーカーなどが、安全対策と普及を図るため対応しているだろう。 本書の価値は、昔から伝承されてきた手道具や現地調達できるものを使った山仕事の「知恵」の伝授を、口伝・体得によらずに記録化しているところにある。現場に入ればすぐにわかることだが、刈払機とチェンソーの安全で効率的な使い方をマスターしているだけでは、仕事にならない。それ以外の道具を使って仕事をする場面は多々あるし、ちょっとした作業をする場合にはエンジン機械ではかえって非効率なこともある。 山仕事の方法は決し一般には普及していないし、後継者不足もあって、長年にわたって日本各地で累々と蓄積されてきた「英知」は消滅しつつあるように思う。そのような中で本書の価値は大きいと言わねばならず、プロ・アマや個人・団体を問わず得るところが大きいだろう。 このような本は、座学に供するだけではもったいなく、ハンドブックとして現場に携行し、徹底的に活用したいところである。しかし、残念ながらさしたる厚みもない割にサイズがほぼA4版と不相応に大きいと思う。イラストはシンプルでわかりやすいが、少し大き過ぎはしないか。 ページ数を倍増させてサイズを半分以下に抑えて欲しいというのが、読者としての率直な感想である。あわせて大幅なコストダウンを図っていただきたい。これらの書籍の収益が全林協の運営資金に充てられているところは理解できるが、この情報量で1500円は高いと思うが、いかがなものか。 |
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| 『森づくりテキストブック』 | |
| 里山林を整備する目的と方向性を明確にすることとその整備のあり方を解説 | |
この本は、全7章立てで、導入にあたる第1章では、里山林が歴史的にどのように形成され、どのような変貌を遂げて今日に至っているかという記述から書き起こしており、内容的な奥行きを感じさせる。第2章では、天然林や針葉樹の人工林とは異なる里山林の特性を解説し、コナラ・ミズナラなどのそこに典型的な樹種の特性を説明している。 さらに、この章の後半からが本題の調査・整備・管理の話になるが、ここで著者は整備・管理の目的と方向性を明確にしてから活動に取り組むべきであると述べる。基礎的にして最も重要な視座だと思う。そして、この提言の観点から、1)景観を楽しむ、2)生物多様性を保護する、3)バイオマス生産の場とする、4)野外レクリエーション・教育の場とする、5)天然林への遷移を促進するという5つの具体的な目的・方向性ごとに、それぞれの整備目標のあり方を展開している。 第3章は、下草刈り、つる切り、落ち葉かき、もやかき、伐採、造材、運搬・保管などの個別具体的な「作業マニュアル」となっており、薪・炭・ほだ木・堆肥・チップの作り方やソダの活用法、ビオトープづくりから、遊びやクッキングに至るまで、里山林の利用を幅広く紹介している。 第4章は、生物多様性が極端に低い竹林の管理の解説に充てられている。第5章は針葉樹の人工林とその樹種の特性の解説、および環境人工林を目指して広葉樹との混交林化をすすめていくための整備のあり方と、枝打ち・間伐の方法、間伐材の利用などを紹介している。第6章は必要な道具・装備とその使い方の解説である。また、最後の第7章では活動の場探し、および組織作りとその運営についてふれている。 深みと広がりを持ったボリュームたっぷりの総合的な解説書と言えると思うが、それだけに読み手側の具体的な関心・視点が定まらないまま読み進むと、ともすれば「樹海」に迷い込んだかのような状況になるかもしれない。 この本を2度目に読むにあたり、自分(自分たち)の目的・方向性を予め明確にせよという、著者の第2章での提言を今一度きちんと認識して通読したところ、かなりクリアーに理解しながら読み進むことができた。里山林に知的関心のある人にも、その整備を実践しようという人にも、おすすめの1冊である。 |
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| 『森づくりワークブック 雑木林編』 | |
| 市民活動による雑木林管理のあり方や方法を詳細に解説 | |
この本は、市民活動による雑木林の整備・活用のあり方を平易に説いたものである。監修者はここ10年来高まってきた市民による雑木林の整備・活用について、アマチュアの姿勢に徹すること、市民活動を全国規模で見たときに、点から面へと拡大していくこと、さらに雑木林の整備で生み出されるさまざまなものを、クラフト等の素材、バイオマス燃料などとして活用していく流れを作り上げていくこと、適切に組織化された各市民団体がその活動を積極的に発信し、かつ相互のネットワークを構築して技術や情報を共有していくべきことなど、今後の市民活動の進むべき方向性を説いている。 内容もこの方針・方向性を的確に踏まえた構成となっており、平易でわかりやすいものとなっている。全5章立てであるが、第1章「森づくりの基礎 里山の雑木林」では、雑木林の成り立ちとその荒廃、改善のポイントと生物多様性の尊重など、現代にあって雑木林を管理・再生することの意義を説き、活動フィールドの探し方などを解説する。 第2章「みんなでつくろう、雑木林の管理プラン」では、雑木林を地域に役立てるプランづくりを解説する。管理プランめざす方向性、調査のしかた、ワークショップ方式の効果的活用、パソコンとCDを活用した管理マニュアルづくり、実際の活動事例などを紹介する。 第3章「森づくりワーク」では、具体的な作業の方法を解説した章である。毎木調査の仕方、下刈り、笹の処理法、つる伐り、もやかき、落ち葉かき、竹林の管理、間伐と枝打ち、苗木づくり、伐木、丸太づくり、間伐材の集積法、木から落ち葉に至るまでの運搬法、薪づくり、チップづくり、竹の利用法、シンボルツリーなど、雑木林に残す植物の効果的活用など、作業技術をわかりやすく体系的に示している。 第4章は「雑木林を楽しむ活動いろいろ」として、遊び・食事・癒し・アート活動などを簡潔に紹介する。最後の第5章では「快適、安全な活動のために」として、持ち上げる動作、子どもの参加のあり方、作業量と内容の見極め、休憩場所とトイレの設置法など、安全・快適・継続性を維持していく方途が示されている。また、後半では、作業現場を離れて広報、ネットワークづくり、スキルアップのための学習活動、子ども向けの教材づくりの意義・方法・留意点などを解説する。さらに市民グループ活動のためのリスク管理のあり方、道具に関する注意によるあり方までもが解説されている。 全体を通じて、雑木林の整備に携わるものにとっては有益な内容となっている。ただし、読者側の選択の問題と言えばそれまでだが、出版時期をほぼ同じくして、内容のかなり重複する本(『森づくりテキストブック』)を他の出版社からも出版するというのはいかがなものかと思う。 |
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| 『薪のある暮らし方』 | |
| 薪をはじめ木質系燃料を焚くさまざまな道具を深く掘り下げて解説 | |
本書では、簡単手軽なものから究極の暖房システムまで、木を焚く暖房・調理器具が広く紹介されている。それは、昔懐かしい一斗缶コンロ・七輪・鉄板製薪ストーブ、近年のペレットやチップを燃料とするストーブやボイラーなど多岐にわたる。 また、日本の焚き火・囲炉裏・かまど・こたつ・火鉢、西洋のハース(かまど)・キッチンストーブ・暖炉、またオンドル・ペチカなどのレンガや石造りの蓄熱式暖房など、古今東西、人間は木を焚く暮らしを脈々と営んできたことを絵本の挿し絵などから概括している。特にメイスンリ・ヒーター(石造りの蓄熱式薪ストーブ)については、排気のクリーン性、蓄熱式の快適性や経済性などから、著者は並々ならぬ強い関心を抱いていて、かなりの紙数が費やされている。 さらに燃料についても、薪・柴・枝葉・木の根、木炭・チップ・おが屑・ペレット・ブリケット(オガライト)・炭化水素やエタノールなど、ひろく解説されていて勉強になる。 パンやビザを焼く石窯も紹介されており、このような木を焚く暮らしの復権による里山の再生、廃材の再利用、家族の絆の強化などの著者の願いがまとめられている。 |
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| 『旧暦スローライフ歳時記』 | |
| 旧暦の12カ月を月ごとに紹介 | |
全体を旧暦の12カ月で章立てし、月ごとに「時候・行事・歴史」(二十四節気・年中行事・歴史上の事件)・「天文・気象」・「生活」・「旬の味覚」・「動物・植物」・「コラム」(暦学にまつわる豆知識)の節が設けられている。全体を通読すると、旧暦に密着したスローライフの本というよりも、旧暦と時候や年中行事等の解説本と理解した方がよい。 通読してみたが、いま読んでいる節の話題が前後の節とは無関係なので流れがなく、通読するにはかなり苦痛で時間を要する。特に、その月に起こった歴史的事件を紹介する節があるが、「旧暦スローライフ」という書名の本で取り上げる必要があったかは、はなはだ疑問である。本書は、通読するよりも、各月の関心のある節を拾い読みして次の月に進んでいった方が、季節の移ろいが鮮明になり、読みやすいと思う。 なお、終章には、西洋・東洋と日本の暦の歴史に関する簡単な解説があるが、これを先に読んでもよいと思う。 |
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| 『本物を伝える 日本のスローフード』 | |
| 伝統野菜の生産や地産地消、食育の取り組みなどを広く紹介 | |
地元の伝統野菜づくりや地元食材使用のレストラン、地域の食文化を子どもたちに伝える学校給食など、日本各地のさまざまな「スローフード」を守る取り組みが紹介されている。 また、塩・醤油・麩・茶・漬物・酒・みりん・鰹節・菜種油・納豆など、伝統の技法を守りながらつくられている、日本各地の「本物」の食品も紹介されている。 安全でおいしい「本物」の食品そのものもすばらしいが、それを消費者に提供し、また未来に伝えていこうとする人たちの熱意と努力もまたすばらしいと思った。 「本物」の食品の未来には、供給する側の努力はもちろんだが、その価値に対する消費者側の理解の高まりも不可欠であると感じた。 |
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| 『半農半Xという生き方』 | |
| 自給的農業と社会的起業に生きるライフスタイルのすすめ | |
著者は、「里山ネットあやべ」の事務局員で、「半農半X」の生き方を故郷の京都府綾部市にUターンして実践している。 「半農半X」とは、要するに田舎で自給農をしながら、自らが取り組みたい社会的起業に取り組む生き方のようである。兼業農家の生業スタイルとは異なる。本書は、通常の田舎暮らしの入門書でもなければ、スローライフの具体的な実体験などを紹介した書でもない。 「半農半X」の生き方は、古今東西の文学や思想に広く触れて達した境地のようだ。深い思索が精神生活や人生をよりよいものにすることは間違いない。しかし、あえて言うが、「哲学」があっても食っていけないのも、また「哲学」がなくとも、どっこい人は生きているのも現実である。 おそらく、本書は田舎暮らしやスローライフなどのコンセプトやその社会現象自体に関心がある人には、好感を持って受け容れられると思う。しかし、自分や家族が自活できるだけの「X」が見つからなくて悶々としながら、この書に期待して手にした人には、物足りなさを感じさせるだろう。また、思想・理性より、感覚・感性を重んずる人などは、読破にかなりの根気を要することだろう。 |
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| 『里山再生』 | |
| 放置されて荒廃しつつある里山を人間が再び活用することで再生する必要を説く | |
本書はまず、里山が手つかずの純然たる自然ではなく、「二次的自然」であり、人間もその一部に含むシステムであることを強調している。このため、里山には「保護」ではなく、人間が積極的に手を加え、「活用」する必要があると説いている。 現在、開発をはじめ、放棄、移入種や農薬、廃棄物などによって、里山システムは崩壊の危機に直面している。そこで、里山地域の住民や自治体、NPO法人などが、里山を都市住民のボランティア活動、環境学習・生活体験学習の場とするなど、様々な再生の取り組みを始めていることが紹介されている。日本の里山の現在が簡潔にまとめられた書である。 |
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| 『旧暦はくらしの羅針盤』 | |
| 旧暦の持つ利点を再評価し、生活・ビジネスへの活用を説く | |
著者は、1970年代にタイのバンコクに繊維会社の営業で駐在していたときに華人と交際して「農暦」(旧暦)と出会う。 旧暦というと、今となっては役に立たない古い暦という印象があるが、著者はアジアのモンスーン気候帯の季節の移り変わりを、太陽暦よりもはるかに正確に反映している暦として注目し、年間の天候予測にも活用している。年間の天候予測をある程度事前に把握できるならば、農業はもちろんその他にも恩恵を受けるビジネスは少なくない。また、衣替えなど生活にも役に立つ。現代のビジネスや生活に、旧暦のよさを採り入れようというのが著者の主張である。 本書では、旧暦や他の暦、旧暦と季節・年中行事の関係、旧暦と歴史的事件など、旧暦とその周縁に関する基礎的知識が平易に概括されている。サイズ・価格ともにお手頃な新書版なので、旧暦の感覚を採り入れたスローライフを送るのに参考にしたい本である。 |
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| 『旧暦と暮らす』 | |
| 旧暦のもつアジアの地域暦・自然暦としての性格を再評価し、その活用を説く | |
「旧暦」、すなわち太陽太陰暦が気候や生命活動などの季節の変化、災害などのサイクルを反映した、アジアの地域暦・自然暦としての特性を持つことを再評価し、旧暦カレンダーを文学やアウトドアなどの趣味、生業やビジネスなどに活用することを提唱する。 暦を語るのに避けて通れない天体運行に始まる諸々の解説も、簡潔にして要領を得ており、抵抗なく読み進められる。さらに、著者はヨットによる世界周航の経験者であり、また旧暦カレンダーを活用している各分野の14人もの体験談を1章を設けて紹介するなど、単なる「旧暦」の知識の書に留まらず、「旧暦」を実感(体感)できる書とすることに成功している。 「田舎暮らし」・「田舎移住」がスローライフを実現するための空間を確保する手段ならば、「旧暦」の活用はそのための時間を確保する手段といえそうである。空間に加え、時間も意識すれば、生活に一層の「豊かさ」がもたらされそうである。「旧暦」を生活に採り入れようとする人の必読書といえよう。 |
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| 『週末スローフード生活』(小学館文庫) | |
| 実践者の考え方に触れ、家庭料理にも活用できる書き下ろし文庫本 | |
編集者が妙に抽象的な団体名だったので、正直なところ眉唾ものかと思って警戒したが、うれしい誤算であった。この本には和食・イタリアン・中華・フレンチの4人のシェフが写真入りで登場し、「食」について大切にしていることなどを紹介して、各自がそのコンセプトに基づいて生み出したオリジナルレシピをカラー写真入りで計33例にわたって紹介している。 レシピと共に、シェフたちの「食」への思いも味わい深かった。いわく、家庭の味を大切にすること、手間暇を惜しまず作って食べること、旬の味を大切にすること、家族(特に子ども)と一緒に作って食べることなど、ともすれば効率と採算が大手を振っている現代社会の中ではすたれつつある食生活の「基本」を再認識することができた。 また後半は、子どもとのピザ作り、生パスタ作りやバケツでの米作り、味噌や塩の作り方など、家庭でもできる食材の作り方がわかりやすく紹介されてる。他にも、貸農園・農業体験に関するサイトの情報や、会員制の野菜直販組織の代表へのインタビューの内容と産直ネット販売サイトの紹介、また東京農大教授で日本スローフード協会会長の声も紹介されている。 本書は文庫本であるが、内容は書き下ろしであり、また価格も手頃で、スローフード関係に興味のある人にとっては、気軽に購入して「食材」や「食育」関連の考え方に触れ、また家庭での実践にも活用できる本だと思う。 |
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| 『カラー版 里山を歩こう』 | |
| 人間の働きかけも含めた里山の動植物の営みを画像と文章で描写 | |
著者は、背後に比叡山、前には琵琶湖のある滋賀県大津市仰木の地を、28年間見つめてきた。 本書は、その仰木の地の里山空間の棚田と雑木林の四季のうつろいを、豊富なカラー写真と文章で描写している。 棚田や雑木林は、いわゆる「手つかずの自然」とは異なる、人手によって維持されてきた空間である。そこに住む動植物によって織りなされる生態系の営みに、春の田おこしから始まる「人間の営み」がしっかりと組み込まれている点が特に印象深かった。 里山の景観・生きもの・農業・民俗など、多面的に現代の里山の姿を描き出すことに成功している。 |
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| 『日本の森はなぜ危機なのか』 | |
| 危機的状況といわれる現在の日本の森林の実像をわかりやすく解説 | |
日本の森林は、「人の手が入り過ぎる」lことよりも、「人の手が入らない」ことで危機的状況となっている。このため、環境保全や公益的機能に着目する視点から森林を維持していく道が探られている。 これに対して筆者は、低コスト化と現代社会の需要に即した新商品開発などによる森林と林業の健全化を提唱し、様々な新動向を紹介している。 「林業とは木材生産業である」、「かつて林業は木を売って儲けていた」、「外材の安さや太さに国産材は負けた」、「日本は外国より人工林が多く高賃金で山が急峻だからコストが高い」、「都市住民の森林ボランティアが労働力として有効である」、「人が植林し、間伐・下刈をしなければ木は育たない」などの理解は、場所・樹種・育成法・時代などの諸条件次第では、必ずしも普遍化できない「誤解」であることが指摘されていて興味深い。 |
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| 『薪ストーブと囲炉裏の本』 | |
| 直火のある暮らしに関心がある人のための平易な入門書 | |
前編では、薪ストーブのある暮らしをしている人と住まいの例、薪ストーブ料理、薪ストーブカタログ、薪ストーブの構造やストーブと煙突の設置法、使い方のマニュアルなどが紹介されている。読めばとても勉強になるが、写真がふんだんに使われていて、見ているだけでも楽しい。 後編は、囲炉裏のある暮らしの例や囲炉裏のカタログ、囲炉裏の構造や使い方が解説されている。DIY囲炉裏の作り方まで紹介されていて、勉強になる。 薪ストーブや囲炉裏の写真集としても十分楽しめ、また自宅への導入を検討しようと考えている人の入門書としても申し分ない一冊となっている。 |
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| 『自然の暮らしがわかる本』 | |
| 自然とともに暮らしたいという人のために多方面にわたる暮らしのノウハウを満載 | |
何かを契機に、自然に囲まれて「田舎暮らし」や「スローライフ」を実現してみたいという憧れを抱いた人に、その生活の全体像や個別の取り組みの具体的な実行法を示し、憧れの暮らしのイメージを膨らませてくれそうな本である。 著者の取材や体験をもとに、快適な住まいの確保、農耕・酪農などの農業、米・麦・雑穀・大豆などの食品加工法、薪・山菜・きのこ・薬草などの里山の恵みの活用、刃物などの道具・機械の手入れ法など、多岐にわたる暮らしのノウハウが解説されている。中には、誰かが意識的に古老から継承し、文字で書き留めていかなくては、消滅しかねないものもある。 これらは、文章のほかにも、手順や位置などを説明したイラストや写真などを随所で用いて解説されており、丁寧な構成となっている。また、個別のテーマをさらに深く勉強し、実践したいという人のために、さまざまな依頼先や問い合わせ先、「おすすめBOOK」を紹介するなど、後々の発展性にもきちんと配慮した入門書となっている。 |
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| 『現代雑木林事典』 | |
| 雑木林に様々な関心を抱く人のための入口となる一冊 | |
「全国雑木林会議」がネットワーク化を進めて10年間の活動によって得た知見などを主に市民ボランティア・学校などを主対象に、各項目を五十音順に配列して編集した事典である。 通読してみると、五十音順に配列するまでもなく、大項目を設けて編集した方が使い勝手か良さそうな気もしたが、その点は、目次を「分野別目次」として、「総論」・「活動」・「管理」・「生産」・「利用」・「植物」・「生態」・「福祉」・「歴史」・「総説」の10項目に分けるなどの配慮がなされている。 ほぼ70名で分担執筆している各項目は、基本的に見開き1ページにまとめられている。カラーではないが、イラスト・写真なども効果的に組み入れられている。また、各項目ごとに、執筆者のプロフィールが左ページ下に紹介されている。さらに、右ページ下には必要に応じて参考文献も示されていて、各項目内容をさらに深く知るための配慮などが見られるなど、信頼性が持てる構成になっている。 事典のスタイルをとるので、興味や必要のある項目だけを拾い出してで読むのもまたよいと思う。個別の内容については、「喰い足りなさ」を感じるものも少なくないが、それは事典の性質のなせる業で、この事典の項目に執筆されている内容をインデックスにして、必要なテーマについてはさらに他の本で勉強を進めていくというスタイルをとるのがよいと思う。 最後の「総説」の“大トリ”にあたる松下芳樹「現代社会と雑木林」は、大いに共感できる内容だった。全10ページを費やして、現代社会の人と自然と社会の関わりが持つ問題点と人間(自己)回復の必要性、雑木林での活動における「遊び」の要素の重要性など、評者も個人的に歴史や日常生活、また雑木林での活動の中で常日頃感じている内容が整然とした論旨で示されていて、多数の執筆者の活動の集大成を集めて編集したこの事典の総まとめにふさわしい内容だと思った。 |
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| 『薪割り礼讃』 | |
| 薪を焚くライフスタイルを広く深く追究した奥深い本 | |
著者は、東京生まれの東京育ち、岩手県林業技術センター研究員で、薪割りや火を焚く生活を、自然体でこよなく愛している。本書は、単なる薪づくりの本ではなく、人間と薪や雑木林とのかかわり、戦後の燃料革命がもたらしたものなどを平易に解説しており、奥行きが深い。 もちろん、雑木林の管理から薪づくりの方法、採暖・調理などの楽しみ方など、薪のある生活を、川上から川下まで体系的に、魅力的に紹介している。また、著者の住む盛岡周辺での薪を通じた人的交流やヨーロッパの薪・ストーブ事情なども紹介されている。日本と大差ないものと思い込み、あまり考えてもみなかったヨーロッパの燃料事情を知ることができたのは収穫であった。 生活に薪ストーブ・囲炉裏など採り入れると聞くと、時代に逆行する懐古趣味かと思ってしまう。しかし、化石燃料の採掘・燃焼とは異なり、雑木林を管理・育成し、薪を燃焼させることは、二酸化炭素を循環させる営みであるという。「二酸化炭素」といい、「循環」といい、それは21世紀型の環境のキーワードである。薪を熱源とする生活は、まさに「温故知新」といえそうだ。 |
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| 『田園サバイバル備忘譚』 | |
| 田舎暮らしの「現実」を小説のスタイルで描き出した本 | |
この本は、約1年間に及ぶ田舎暮らしの取材を下地として執筆された中編4部作である。 1作目は、移住後ミニトマト栽培をしている夫婦2人が小高い丘の上に枕木ハウスをセルフビルドして喫茶店を開業するまでの話。「新参者」と地元で客商売を営んできた人たちとの関係の難しさが伝わってくる。 2作目は、商社を早期退職して移住し、鶏卵と野菜を産直方式で販売している主人公の家族が、地元の地縁社会に受け容れられていく過程を描く。「新参者」を来訪者としては、やさしく受け容れてくれても、地域共同体の構成員としては容易に受け容れてはくれない社会構造が浮かびあがる。 3作目は、Uターンしてみかんの無農薬栽培を始めた主人公が、研修に来たアイルランドの女性と家庭を築き、また仲間も増えて経営規模を拡大していくが、害虫の大発生を機に内部対立で低農薬に切り替える妥協を余儀なくされ、それを拒否した妻が離婚して息子と家を出て行く。自然相手の仕事の過酷さを突きつけられる。 4作目は、廃校で木工房を営む夫婦。家具を作る夫は、副業で山仕事にも出ている。妻は玩具作りをして家計を助けているが、何ぶん資金繰りが厳しく、生まれてくる子のためにも木工ワークショップのできる民宿の経営を考えるが・・・。 田舎暮らしの本の内容は、サクセス・ストーリーであることが求められる。しかし、成功者はリスクを負っていることを忘れてはならない。移住を決行しても、夢破れて去った人も少なくないはずだ。しかし、このような例が公開されるケースは、期待できない。 本書は小説のスタイルをとることで、失敗例や過酷な側面を読者に提示することに成功している。テーマに照らせば、小説とはいえそこまで書かずとも・・・という感じの房事の描写があるが、そのページより「あとがき」の文をしっかり読んでおきたい。 |
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| 『田園生活の教科書』 | |
| 自然豊かな場で生きていくということの喜びと厳しさがともに伝わってくる一冊 | |
著者は、北米で狩猟・魚釣りなどで暮らした経験を持ち、東京から北海道の十勝地方に移住して「田園生活」を営んでいる。その経歴に裏付けられ、本書は「田園生活」のリスク管理と道具の利用に重点を置く個性的な内容となっている。 まず、居住地選びや住居・生業の確保、生活の知恵など、田舎移住に関するアドバイスは序章にまとめられている。その内容は参考になる点が多い。 本編第1章では、自然とのふれ合い、菜園づくりや造園、魚釣りに狩猟と、「田園生活」の醍醐味がたっぷりと紹介されている。第2章ではさまざまな作業に伴う服装や装備、ボルト・ナットなどの部品から、草刈機・チェーンソーなどの工具や機械の扱い方、刃物の研磨などのメンテナンス法を説明している。さらに第3章では、車や機械・工具の選び方・買い方、ひもの結び方、除雪や火災・盗難予防などの生活安全対策が解説されている。また、スズメバチ・ダニ・寄生虫・ヒグマなどの害獣・害虫対策も説明されており、大いに勉強になる。 個々人の生活スタイルに照らすと不要な説明もあろうが、そこは取捨選択しながら読み進めたい。この本を読めば、「田園生活」には必ずしものどかで安全快適なものではないことに気付かされるだろう。「備えあれば憂いなし」のことわざを想起させる本で、一読の価値がある。特に北海道への田舎移住を考える人には、強くおすすめしたい。 |
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| 『田舎暮らしの水彩画 川と緑に囲まれて健康スケッチはじめよう』 | |
| 「田舎」を住まいとし、かつライフワークのフィールドとしたライフスタイルをつづる | |
著者は、TBS系「まんが日本昔ばなし」など、長年テレビや映画の美術を担当し、1980年からフリーの画家として児童文学の挿絵や絵本を手がけ、水彩とバステルを用いた風景画を描き続けている。 この本は、筆者が埼玉県の武蔵嵐山(らんざん)に移住し、田舎暮らしを始めたのを契機に描いてきた水彩画の数々をコメントを加えながら紹介している。題材も民家・里山・道・川辺・駅・草花などさまざまで、昔ながらのどこか懐かしさを感じる風景が盛りだくさんである。後半は、水彩画へのいざないとして、画材や構図の取り方、描法のプロセスを紹介しながら、さまざなま場面の描き方などを解説した水彩画の入門的内容となっている。 一枚一枚の絵が大きく、コメントに目をやりながら絵を眺めてページをめくっていくと、著者の住む地域の魅力や四季の移ろいなどがよく伝わってくる。それにつけても、絵心ある人の水彩三昧の生活、何ともすてきな田舎暮らしである。 |
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| 『雑木林をつくる 人の手と自然の対話・里山作業入門』 | |
| 雑木林のある里山の景観を守る市民ボランティア活動や作業を紹介 | |
この本は、昭和30年代くらいまで、江戸・東京などの人口密集地の薪炭の消費を支えてきたが、高度経済成長下のエネルギー革命の進展で放置されるようになった近郊の雑木林の価値を見直し、行政と連携しながらその管理・保全を実行するボランティアの創設や運営の中心となってきた市民や学識経験者の共著によるものである。 「T イラスト 雑木林作業をやってみました」では、雑木林とその管理をする人の年間のサイクル、具体的な作業と道具の紹介、雑木林の産物の利用などが解りやすく図解されており、要領を得たイントロダクションとなっている。「U ドキュメント 雑木林をつくる」では、多摩市落合第五児童公園をフィールドに管理保全や活用の取り組みをしてきたボランティア団体の10年間の具体的な活動の足跡がまとめられている。笹刈・植樹・剪定・間引き、落ち葉かき、萌芽更新などの作業のほか、植物調査、キノコ栽培や炭焼きなどの活動もリポートされている。 「V キーワード 雑木林とのつきあい」では、歴史的に見て人は雑木林とどう関わってきたかや興味関心のある人が、これから具体的にどうやって関わっていけばよいのかという方法が解説されている。「W ネットワーク」では、「市民参加の森づくり:よこはま方式」としてボランティア団体の取り組みが紹介されている。 都市化された現代人にとって、森林作業は無縁の世界だが、作業の具体的な内容を知る上では、サブタイトルに「里山作業入門」とある通り、導入の書として有用であると思う。ただし、雑木林や里山を管理・保全する必要のある人や、したい人は、必ずしも団体を組織して活動をするわけではなく、純粋に作業のノウハウを学びたい人には、いささか食い足りない感があるかもしれない。 |
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| 『パーマカルチャー 農的暮らしの永久デザイン』 | |
| 自然環境を生かし、共生していく住まい方を提起した本 | |
パーマカルチャーとはpermanent(永久の)とagriculture(農業)、permanentとculture(文化)の合成語であり、人間にとって恒久的に持続可能で、かつ生態学的に健全で経済的にも成り立つ環境システムを作り出すデザイン体系のことである。 この本は、パーマカルチャーの基本原則の解説に始まり、用地の全体設計、家屋の設計、菜園・果樹園・林地などの設計や動物の飼育システムなど、自然物や自然エネルギーを効果的に制御・活用して人間の生活に必要な環境の構築する術を解説している。人間の生活のための活動は、あらゆる知と労働力を総合する営みであり、さまざまな学問分野にまたがる工夫が豊富に紹介されている。これらは現代都市文明のなかで徐々に忘れ去られつつあるもので、この本によって初めて知った工夫も少なくない。 大判で緑色を貴重としたシックな表紙をめくると、内容もイラストも少々「お堅い」本なので、スイスイ読めるというわけにはいかず、いささか取っ付きにくい本ではある。しかし、「環境」や「自然との調和」・「自給自足」などの言葉に敏感に反応する人や田舎などでこれから土地や住まいを整備する計画を持っている人ならば、じっくりと興味深く読み進めることができ、かつ有用な知見も得られる一冊といえるだろう。 |
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| 『完全版 自給自足の本』 | |
| 家屋も含めた自分が住まう「場」のグランドデザインと住まい方の参考になる本 | |
この本は、北海道仁木町でアリス・ファームを主宰する二人の『The Complete Book of Self-Sufficiency』(1976年、London)の訳本である。開墾から始まる農耕と牧畜のやり方、その品種紹介や生産物の加工法と保存法、自然エネルギーの利用法、手仕事によるさまざまな材料の加工法などが盛りだくさんの大判でボリュームのある(高さ28cm・全158頁)の本である。各ページには大きな挿絵があって内容が理解しやすい。 余談だが、原書の改訂新版『The NEW complete book of SELF-SUFFICIENCY』(2003年、London)をアマゾンで買ってみたが、頁数はほぼ2倍だった。挿絵がオールカラーでとてもよかった。 この本の内容は詳細かつ多岐にわたっており、大いに勉強になった。反面、最初から最後まで通読するにはかなりの根気がいる。関心のある項目からアトランダムに読み進めていくのも一法だと思う。 この本の日本版、すなわち日本の伝統的な生産・生活技術や知恵を解説した本がほしくなってくる。 |
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